生きる力 〜 我々は物事をどう思い、どう振舞えばよいか

提供: 有限会社 工房 知の匠

文責: 技術顧問 大場 充

更新: 2020年7月6日

ねらい

これからの世界では、生きてゆくためには、私たちが物事をどう考え、その考えに従って、どう振る舞うかが、問題になります。人類にとって、そのことは古代から、ずっと大切な問題でした。しかし、これまでの5,000年間、そのことが問題にされたのは、王様や宗教家、さらに中世のヨーロッパの貴族、日本の封建時代の大名などの人々など、一部の人々に限られていました。

皆さんが生きてゆく、これからの時代は、何をどう考え、どう振舞うべきかを考えなければならないのは、一部の「特権階級の人々」だけでなく、ほぼ全ての人々になるでしょう。それは、私たちが生きている社会が、とても豊かになり、ひとりひとりの人に自由が与えられ、私たちの生きている社会に必要な決めごとを決める人々を選ぶ権利が与えられるようになっているからです。

このような社会は、イギリスの思想家、ジョン・ロックが「民主主義社会」の仕組みを考え出すまで、ほとんどの人々には関係がありませんでした。それは、それらの問題は、国王たちが決めれば良いことでした。普通の人々は、国王が決めたことに従っているしか、なかったからです。普通の人々には、自分が作った作物を、どうするかを決めることもできませんでした

普通の人々にとって、畑で作った作物は、全て国王のものだったからです。自分達が稼ぎ出したお金であっても、それは国王のものでした。その一部だけを自分達が生きるために使うことが許されていただけです。わずか300数十年前に、ロックが、国王と言えども、国民の権利を勝手に犯すことはできないと言ったのが始まりです。その後、イギリスやフランスで、革命が起こり、世界は大きく変わりました。

その影響が、私たちの日本へ伝わってきたのは、70年前の、第2次世界大戦に大日本帝国が負けたときでした。それ以来、日本の社会は、新しい世界のやり方について行くために、国民の教育を含めて、色々な制度の見直しをしてきました。それでも、70年以上が過ぎた今でも、我々の住んでいる日本には、2,000年に近い歴史で作り上げられた、古い時代の習慣や制度が根強く残っています。、

それらの古い「しきたり」を、そのままにすることもできます。しかし、それでは世界の中で、日本は衰退してしまうでしょう。これからの世界でも、日本が繁栄できるように、国の姿を変えることが必要です。そして、その仕事は、皆さんがやらなければなりません。ここでは、そのために、皆さんに持ってもらわなければならない「考える力」と、それに基づいて「行動する力」を、どのように身につければよいのかについて考えてみましょう。

ここに私が書くことは、決して「答え」ではありません。私は、「答え」を知りません。「答え」は、皆さんが探さなければならないのです。私ができることは、皆さんが答えを探すために、物事をどう考えて行けば良いのかの、「地図」を示すことだけです。

目次

ここでの話の成り立ちは、以下の通りです。

第1章 はじめに
はじめに(2020年4月4日掲載)

第2章 考える準備
2. どう思いをめぐらせば良いのか
(2020年4月8日掲載)
3. 言葉の意味を明らかにする
(2020年4月17日掲載)

第3章 考える手順
4. これまでの様々な見方を調べる
(2020年4月20日掲載)
5. 何に答えるべきかを決める: 問題を明らかにする
(2020年4月28日掲載)

第4章 答えを探す
6. 思いをめぐらせる前に明らかにすべきこと
(2020年5月18日掲載)
7. うまく思いをめぐらすために: 問題をよく考えて整理する
(2020年5月25日掲載)
8. 答えをまとめる: 良さそうな答えを選ぶ
(2020年5月26日掲載)

第5章 答えを見出すために
9. 答えを見出す(1): 2つの意見を比べて、より良い意見を作る
(2020年6月4日掲載)
10. 答えを見出す(2): 1つ1つをよく見て、多くに当てはまる問題を考える
(2020年6月8日掲載)
11. 答えを見出す(3): 2つ以上の意見を調べて、その中間を考える
(2020年6月12日掲載)

第6章 さらに
12. 難しい問題を解くために: 分けて考える
(2020年6月18日掲載)
13. 絶対に正しい答えは見つからない: もっと良さそうな答えを探す
(2020年6月25日掲載)

第7章 おわりに
14. 正しく振舞う: 「考える」から「行う」へ
(2020年7月4日掲載)